竹骨とは何か・種類と伝統工芸への役割を解説

竹骨とは何か・種類と伝統工芸での役割

竹骨(たけぼね)は、洋傘の骨と同じように見えて、実は1本の竹から40〜80本以上も割り出して作られています。

竹骨とは?3つのポイント
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竹骨の基本

竹骨とは、和傘・扇子・提灯・菅笠など日本の伝統工芸品の骨格を担う竹製の細い棒のこと。製品によって形状・本数・使用する竹の種類が異なります。

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職人の手仕事

竹骨の製作は「骨師」と呼ばれる専門職人が担います。1本の竹から数十本の骨を割り出し、削り・磨き・矯正などの工程を経てはじめて完成します。

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用途による違い

和傘では1本の傘に40〜80本、扇子では7〜40本以上の竹骨が使われます。提灯の竹骨は東日本と西日本で巻き方が異なるなど、地域性も豊かです。


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竹骨とは:伝統工芸を支える基本構造

 

竹骨とは、扇子・和傘・提灯・菅笠といった日本の伝統工芸品において、骨格・支柱として使われる竹製の細い棒状の部材のことです。「骨」という言葉が使われますが、人体の骨と同じように、製品全体の形を内側から支えるという意味で使われています。

日本人は古くから竹を身近な素材として活用してきました。竹は軽量でありながら非常に強く、しなやかに曲がり折れにくいという性質を持っています。この特性が、骨格材料として優れた性能を発揮します。

竹骨が用いられる代表的な伝統工芸品には、扇子・和傘・提灯・菅笠の4種類があります。それぞれ竹骨の形状や本数、使う竹の種類が異なり、製品ごとに専門の骨師が存在してきました。

竹骨が基本です。

竹骨の読み方は「たけぼね」です。「骨師(ほねし)」と呼ばれる専門職人が、1本の竹を縦に割って細く加工するところから製作が始まります。機械では作れない微妙な曲がり癖の調整まで、すべて職人の手と目で仕上げられます。

和傘を例にとると、1本の傘に使われる竹骨は一般的に40〜80本。番傘(ばんがさ)では48本が標準で、蛇の目傘(じゃのめがさ)では44本が使われます。これはA4用紙を縦に細く切り出した感覚に近く、1本の竹からこれだけ多くの骨を切り出す精度に、職人の技術が凝縮されています。

越中福岡の菅笠の竹骨(笠骨)製作工程について詳しく解説されています(日本伝統文化振興機構)

竹骨の種類:扇子・和傘・提灯・菅笠での違い

竹骨は使われる製品によって、その形状・数・使う竹の種類がまったく異なります。ここでは代表的な4種類の竹骨の特徴をまとめます。

まず扇子の竹骨です。扇子の竹骨は「扇骨(せんこつ)」とも呼ばれ、両端の太い「親骨(おやぼね)」と、その内側に並ぶ細い「仲骨(なかぼね)」の2種類に分かれます。骨の本数を「間数(けんすう)」と呼び、例えば「7.5寸35間」のように寸(約3.03cm)と間数で管理されます。京扇子の場合、材料には京都丹波産の真竹(まだけ)が最良とされており、3〜5年の若い竹が使われます。上質な竹は皮の部分を使い、硬くコシとツヤがあるため希少です。

扇子は竹を切るところから仕上げまで約88の工程があると言われています。親骨には彫り細工や塗装を施し、仲骨は紙に息を吹き込んで穴を開け、水糊をつけた骨を差し込むという繊細な作業が続きます。これは使えそうです。

次に和傘の竹骨です。和傘の竹骨には外側の長い「親骨」と内側を支える短い「小骨(こぼね)」の2種類があります。1本の竹を縦に割って作りますが、割った後も元の順番を保つことが重要です。竹はまっすぐに見えて実は曲がっているため、順番が入れ替わると傘を閉じたときに骨に隙間が生じてしまいます。和傘の制作は細かく数えると100工程を超えると言われており、竹骨の製作だけでも磨き・矯正・穴あけなど多くの工程が存在します。

製品 竹骨の種類 本数の目安 主な竹の種類
扇子 親骨・仲骨 7〜40本以上 真竹(まだけ)
和傘 親骨・小骨 40〜80本 真竹・マダケ
提灯 竹ひご(細骨) 螺旋巻or段積み 細竹・女竹
菅笠 笠骨(がさぼね) 笠のサイズによる 女竹(めだけ)

提灯の竹骨は「竹ひご」と呼ばれる非常に細いもので、直径約0.4mm・長さ約4.5mほどのひごを複数本つなぎ合わせて使います。これはシャープペンシルの芯より細い太さです。提灯の竹骨には地域によって大きな違いがあり、東日本では1本の竹骨を螺旋状に巻き上げる「巻骨(まきぼね)」技術が主流で、西日本では短い竹骨を1段ずつ積む「地割(じわり)」が多く使われます。東日本の提灯は下がすぼまった形、西日本は卵型になる傾向があります。

菅笠(すげがさ)の竹骨は「笠骨(がさぼね)」と呼ばれ、主に女竹(めだけ)が使われます。竹骨の形を笠の形状に合わせて熱で曲げる「ため」という作業が必要で、地域によって骨の曲げ方や角度が微妙に異なります。富山県高岡市福岡町で作られる「越中福岡の菅笠」は、笠骨から笠縫いまでの全工程が一地域に集積しており、全国シェアの9割以上を誇るという特異な産地です。

八女提灯の竹骨(一条螺旋式)の製作工程が詳しく解説されています(伝統工芸青山スクエア)

竹骨の素材:竹の種類と選び方の基準

竹骨に使われる竹は、製品の用途や産地によって異なります。竹の種類を知ることは、伝統工芸品の品質を理解するうえで重要な視点です。

日本の竹の約9割は、真竹(まだけ・約6割)、孟宗竹(もうそうちく・約2割)、淡竹(はちく・約1割)の3種類で構成されています。竹骨には一般的に真竹や女竹(めだけ)がよく使われます。

真竹は繊維が細かく緻密で、薄く割っても割れにくい性質があります。扇子や和傘の竹骨に最も多く使われており、京扇子では特に京都丹波産の真竹が最良とされています。成長には3〜5年かかり、採取のタイミングが品質に大きく影響します。

女竹(めだけ・細竹)は細く柔軟性に富み、菅笠の笠骨や提灯の竹ひごなどに多用されます。細工がしやすく、繊細な形状を作るのに適しています。直径は多くの場合1〜3cm程度で、真竹より小ぶりな竹です。

竹骨の品質は、竹のどの部分を使うかによっても変わります。扇子の骨に使われる竹には「上質竹」と「並質竹」の区別があり、竹の皮の部分(外側)を使った上質竹は硬くコシとツヤがあります。一方、並質竹は竹の身の部分(内側)を使ったもので、やや柔らかくなります。希少性が高いため、上質竹を使った扇骨は価格も高くなる傾向があります。

意外ですね。実は竹は生育環境によって性質が大きく変わります。山間部で寒暖差にさらされて育った竹は、繊維が引き締まりより硬くなります。これはお米が寒暖差によって美味しくなるのと同じ原理で、素材の品質が産地によって異なる理由のひとつです。

また、竹は採取後にもさまざまな加工が施されます。熱を加えて矯正する「ため」という作業で、竹の曲がり癖を直したり意図した形に曲げたりします。和傘の親骨の場合、地域によってためる角度や位置が異なり、金沢では雨や雪に耐えるために骨をかなり丸く収めるという特徴があります。竹骨が原則です。

越中福岡の菅笠の笠骨に使われる竹の特徴と製作技術について(文化庁・日本遺産ポータルサイト)

竹骨の製作工程:骨師の手仕事と分業体制

竹骨の製作は、「骨師(ほねし)」と呼ばれる専門職人が担ってきました。和傘・扇子・提灯・菅笠のいずれも、竹骨専門の職人が存在するほど、その工程は複雑で高度な技術を要します。

和傘の竹骨製作工程を例に取ると、まず竹の切り出しから始まります。太い竹を縦半分に割り、そこからさらに40〜50本に割り分けていきます。割った骨は面取り・ペーパーかけ・「うずくり(表面を磨く道具)」での磨きという3段階の処理を経て、とげや繊維を取り除きます。

次に「大ため」という工程で、切り出したばかりのまっすぐな竹骨に丸みをつけます。熱を加えて骨を曲げるこの作業は、傘の形状を決定づける重要なものです。曲げる角度は地域によって異なり、豪雪地帯の金沢ではより丸くするといった産地ごとの個性が生まれます。

和傘の製作工程は100を超えると言われています。竹骨の準備が完成したら、ろくろ(傘の頭部分の木製パーツ)に骨を針と木綿糸で1本ずつつないでいく「つなぎ」の作業に入ります。このろくろを作れる工房は、現在岐阜県にたった1軒残るのみとされています。

扇子の竹骨は88の工程を経て完成します。特に仕上げの「ツケ」加工では、折り目をつけた紙の仲骨が通る部分に職人が口で息を吹き込んで穴を開け、水糊をつけた仲骨を1本ずつ差し込んでいきます。親骨は熱して内側に曲げて紙を接着し、形を整えます。

八女提灯の竹骨(竹ひご)の場合、直径約0.4mm・長さ約4.5mのひごを12〜25本程度つなぎ合わせて1本の長いひごにします。これを木型に沿って螺旋状に巻きつけていく「ヒゴ巻き」が職人技の見せどころです。厳しいところですね。

製作の分業体制も特筆すべき点です。扇子・和傘・提灯いずれも、竹骨師・紙師・絵師・仕上げ師など複数の専門職が分業して1つの製品を完成させます。それぞれが独立した職人として技術を磨いており、1本の製品に複数の職人が携わる体制が伝統工芸の品質を支えてきました。

和傘の竹骨(小骨・親骨)のつなぎ工程が写真付きで詳しく説明されています(和傘工房・明兎)

竹骨がつなぐ現代との接点:保存と継承の実情

竹骨を使った伝統工芸は、現代においても確かな価値を持ちながら、深刻な後継者不足という課題を抱えています。この現実を知ることで、伝統工芸品を選ぶ目が変わってきます。

和傘の現状は特に象徴的です。最盛期には日本全国で年間1,000万本以上が生産されていましたが、明治時代に洋傘が輸入されて以降、急速に衰退しました。現在、和傘を製造している工房は全国で20軒あるかどうかという状況です。東京都江戸川区の老舗工房では今もなお15本の竹骨と和紙のみで江戸扇子を手作りしており、職人が1本1本すべての工程を担っています。

菅笠の産地では、富山県高岡市福岡町が全国シェア9割以上を占めています。菅の栽培から笠骨作り・笠縫い・仕上げ・出荷までの全工程が1地域に集約されているのは国内唯一とされ、文化庁の日本遺産に認定されています。しかし笠骨を作る職人の高齢化と後継者不足は深刻で、竹骨(笠骨)の製作技術保存が急務となっています。

つまり、竹骨のある製品を手に取ることは伝統技術の継承を支援することでもあります。

提灯職人の減少も見逃せない問題です。享保15年(1730年)創業の京都の老舗提灯店・髙橋提燈では、全国各地から「昔の提灯が壊れて困った」という持ち込みが増えています。各地に提灯を作れる職人が減っていく中で、東日本の巻骨技術も西日本の地割技術も両方に対応できる職人を育てることが、地域の伝統継承につながっています。

伝統工芸品を選ぶ際には、竹骨の材料や産地を確認することがひとつの判断基準になります。国産真竹の上質竹を使った扇骨の扇子や、国内の骨師が製作した和傘は、輸入品と比べて職人の手仕事の痕跡が細部に宿っています。

和傘の製作工程を体験できる機会としては、京都・日吉屋が毎週月〜金曜にミニ和傘の制作体験(約90分・8,800円税込)を提供しており、竹骨に和紙を張る感覚を直接知ることができます。竹骨を実際に触ってみると、その軽さとしなやかさに改めて驚かされます。

竹骨の価値を知るうえで確認したいポイントをまとめると、以下のようになります。

  • 🎋 竹の種類と産地:国産真竹・丹波産などの明記があるか
  • 🔢 骨の本数(間数):扇子は間数が多いほど製作工程が増す
  • 👨‍🎨 製作者(骨師)の情報:分業か一貫製作かを確認する
  • 🏭 産地:菅笠なら越中福岡産かどうかが品質の目安

京扇子の竹骨(扇骨)の種類や構造についての公式Q&Aです(京都府扇子団扇商工協同組合)

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